大学・大学院

理系大学院生のリアルな就活とは!就職できない専攻と博士の闇を暴露してみる

投稿日:2017年7月7日 更新日:

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僕の最終学歴は修士卒です。
院生時代は微生物や食品科学…簡単に言うとバイオテクノロジーを研究していました。

バイオ系といえば、ピペドやポスドク問題、就職難、少し前はSTAP細胞などの論文コピペ捏造問題など、悪いイメージが強いかもしれません。

大学院に進むというと『研究職やアカデミックポスト(教授など)を狙う』イメージが強いでしょうか。
何も知らない人にとって、上位国立の院卒なんて、就活には困らない手に職があるといったイメージかもしれません。

しかし、何も考えずに大学院に進んでしまうと、キャリアを狭めるばかりか、研究者どころかロクな仕事が見つからない可能性もあります。

『学部で就職しておけば良かった…』

という人も数知れず…

この記事では、大学院(修士、博士)への進学を考えている人に向けて、大学院生のリアルな就活や、学歴ロンダリング博士課程進学者の明暗について、超主観でまとめていきます。

院試を受けようと思っている人は、自分が大学院に向いているのか…院に進む覚悟を持てるのか、この記事を読んでからもう一度考えてみてください。

大学院生と就職活動

※この記事は生物系の修士を出た筆者の体験、および上位国立大の院生、OBに伺った話をベースに化学機械情報など各学問分野の情報を補足しながら書いています。

研究職になれる学問となれない学問:機械は天国!バイオ系は地獄!

文部科学省のデータから、昨今の『研究者』の動向がわかります。
博士号取得者や女性の研究者は増加傾向…など、様々な視点からデータ解析されています。

さて、文部科学省の科学技術要覧という統計データから『日本の大学等の専門別研究本務者数の推移(自然科学)』をみてみましょう。
平成27年度の大学・大学院における専門別の研究者数が以下です。
ポスドクや博士を含む研究従事者総数なので、修士課程の学生はおそらく含まれていませんが、参考としてごらんください。

こう見るとなんとなくバランスが良いですね!
私のいた生物系の研究者は約6,000人です。全体の約11%にあたります。
あなたの専攻はどうですか?

このデータを『日本の企業の専門別研究者数割合』と比較してみましょう。
大学に対して、今度は企業の研究者数のデータです。

 

上の円グラフと異なり、自然科学系以外の学問も含まれていますが、こちらはだいぶ割合が偏ったグラフになっています…。

生物系の大学の研究者数は機械・造船・航空とほぼ変わりません
しかし、企業研究者だと機械・造船・航空が全体の30%近くを占めるの対し、生物系はわずか1%!!

『バイオ系は就職難』
『博士を出ても任期付きのポスドクしかない』
『行方不明者が出る』

など、バイオ系博士の闇はよく聞かれますが、そもそも企業の生物系研究者はめちゃくちゃ狭き門なのです。

対して、

『電気電子系、機械系は就職に困らない』
『学部でも技術系の内定取り放題』

という理由もわかると思います。彼らは多くの企業に求められている人材です。
メーカー…すなわち工場、コンピューターを持つ会社なら絶対に必要な学問ですからね。

これらのグラフは、大学院進学前に自分の専門、キャリアを選ぶ上で重要なデータとなるはずです。

【データ元】文部科学省:平成28年度科学技術要覧、総務省:平成28年科学技術研究調査結果の概要など

みるおか
バイオ系に行くな!という話ではありません。覚悟があるか?と自分に問いかけてみましょう……まぁ僕が高校生に戻るなら大学は情報系を選びますがね!(血涙

 

研究職と大学院卒

僕が大学院に進学したのは『(企業の)研究職に就きたいから』という理由1点です。
ある程度の規模がある食品や製薬メーカーの研究開発職を志望する場合、そもそも修士卒が応募条件であることがほとんどです。
もっと言えば、よほど光る人材でない限り、旧帝・東工大などの上位国立、少なくとも早慶クラスの院卒でなければ足切りされるレベルです。
前章の通り、バイオ系の企業研究者は超狭き門です。学歴で足切りし、その中からさらに優秀な学生を選んだとしても十分な数ですからね。

『研究開発職』というと幅広いですが、食品化成品製薬などの業種では、少なくとも修士課程を出ていることがほぼ必須条件となっています。
機械系、電気電子系の専攻では学部卒でも技術系の職種につけますが、基礎研究に近い仕事を希望するなら、やはり大学院への進学がカギになります(学部だと開発や生産技術が多い)。

みるおか
意思決定のカギとなるのは、自分のキャリアに『院卒』が有利になるかということ!
時に院卒は就活で『逆効果』にもなります。みるおかも就活で痛い目を…?(後述)

 

研究職の就職とシビアな学歴社会

ごく稀に、
『マイナー国立のバイオ系でも研究職になれました!』
『私大卒だけど大手で食品の開発してます!』

という例外を挙げて『学歴なんて関係ない』『学部でも努力次第で研究職になれる!』という言葉が大きくなりますが、僕の観測範囲では彼らは『特別』な人たちです。
私大の学部卒から学内推薦で食品メーカー最大手の技術系(*の素)に行った人を知っていますが、彼女はその学部の首席&TOEIC900超だったそうです。

就職四季報で志望企業を探し、技術系の募集人数と、学卒・修士卒の採用人数を比べると傾向がつかめます。
技術力のある会社では営業でも院卒は多いですし、自動車メーカーは技術系でも機械系の学卒をどんどん採用します。
あ、バイオ系の研究職で学部卒を多く採用するメーカーもありますよ。会社の規模にこだわらなければの話ですが…
まずは現実を見ましょう。

そもそも研究職は(その専門の)勉強ができてスタートラインです。大学のレベルである程度選抜するのは合理的ですよね?それを『学歴差別』だとは思いません。
それに、ペーパーを出しているなど、研究成果を残していたり、光っている人は学歴に関係なくピックアップされます。
技術系の場合は就活で研究発表することも多いですし、学歴だけ高いけどプレゼン苦手、英語も苦手、専門知識なし…みたいな人間はあっさり落ちるので問題ありません。

 

バイオ系でメーカーの研究職を目指すなら大人しく東大へ行け

私の専攻は就職難の生物系ですが、うちの大学ではほぼ100%修士課程に進学していました。
公務員試験を受けたり、学部で文系就職する人もいましたが、ほぼ全員が研究開発職を希望…もっと言えば全員が研究職になれる自信があったのです。
一応、上位国立にあたる大学院ですが、毎年OB・ OG宛に送られる就職実績を見ると、就職難の時期であっても、ほぼ全員が中堅〜大手のメーカー研究開発職に内定しています。

しかし、私が共同研究していた私立大学(関関同立クラス)では、同じバイオ系でも、学部から修士への進学率は30%程度でした。
院卒の就職実績をみると、企業の技術系として働いている人は半分もいません。多くはMRや営業など『学部卒でもなれる』職種です。

端的に言うと、研究者になりたいなら高学歴を目指せということです。
バイオ系に関わらず、高学歴ほど研究職になれる可能性は上がります。

 

学歴ロンダリングはぶっちゃけ『アリ』か?

先に答えを言います。

しないよりマシ。

が結論です。

修士の就活で、僕はある製薬会社の技術系選考を受けていました。
筆記試験+小論文+書類が1次選考で、合格すると面接へ…

内部生の同期は『小論文で半分しか書いてないのに時間切れだったわww』と言っていました。
私立の大学から外部入学してきた同期は、筆記も小論もしっかりできたそうです。実際、内部生と同じくらい優秀な学生でした。

結果、うちの大学で1次選考に落ちたのは、私大から外部入学してきた同期1人だけでした。

結局彼も、大手食品メーカーの商品開発に内定したのですが、あからさまに学歴で足切りされていると噂になりましたね…
もともとこの会社は学閥が強いという噂でしたが…

学歴ロンダによって、大手研究職への道が拓けることは確実です。
ただし、内部生と同等に見られるわけではないということは忘れずに!
そもそも院試と学部入試では難易度が全然違いますしね。

 

就活の裏ワザ!教授推薦と学内推薦は上位大学ほど…

学歴ロンダのメリットには、推薦で就職できることも挙げられます。
上位国立ほど、推薦枠がある企業の量と質は上がります。

もちろん、教授や大学にとって推薦できる人間になる前提ですが、枠が空いている限り、アカハラでもなければ『お前に推薦は受けさせん!』なんてことは言われません。
争奪戦になることはありますけどね。

研究室を選ぶときは、就職実績を確認すると良いでしょう。
定期的に同じ企業に決まっているようであれば、教授のコネがある研究室かもしれませんね…(ニッコリ

 

学部生の就活との違い

大学院生の就活も、基本は学部生と同じです。
夏はインターンに行き、リクナビやマイナビに登録し、面接を受けて…

学部生と違うのは『研究発表』が選考に含まれること、そして就活と研究を並行することです。
少なくとも修論を書けるレベルの成果は出さないといけません。

研究と就活2つのプレッシャーに晒され続ける修士…
友人や家族、趣味など、息抜きできる場所を作っておきましょう。

 

就職は学部卒の方が良いこともある

院生時代、興味本位で化成品メーカー営業の説明会に行きました。
研究職の就活のコマが切れ気味で少し焦っていたのですが、『営業なら専門違いでも狙えるのでは…』と思っていたのです…。

説明会が終わった後、意識高く社員さんに話を伺い、

『営業で院卒は募集していますか?』

と聞いたところ、返答は、

『学部生、院生で区別はしないけど、大学院生として営業職を受けるなら、学部生との違い、学部生より優れている部分を示してくれないと採用はできない。』

と言われました。

プレゼン能力や論理的思考、メンタルタフネスなど、大学院生としてアピールできる部分はたくさんあります。
ただ、学部生よりも見る目は厳しくなるということは覚えておきましょう。

僕は結局この会社は受けませんでした。

 

行方不明ってなんやねん…博士課程と就活の闇

実は「ピペド」とは、2ちゃんねるの生物板を発祥とするインターネットスラング。少量の液体を吸い上げて他の容器へ測りとる「ピペット」を使って、朝から晩まで実験を続ける生命科学の研究者を「ピペット奴隷」(あるいは土方)と揶揄する言葉だ。

(中略)榎木氏は、ピペドが現在「6000~7000人いる」と推測。彼らが他の働き口を見つけることができないのは、バイオ系が理系の中でも「物理や数学ができなくてもできる」特殊な分野だからだという。

バイオ企業に就職するには統計の知識が必要で、大企業に就職するには年齢がネックとなってしまう。質より量で勝負しようとする研究室によって彼らは酷使され、身分が不安定なまま年を重ねてしまうそうだ。

出典:国会で「ピペド」が話題に 若手研究者がキャリアを積めない「ブラック環境」で実験繰り返す|キャリコネニュース

文部科学省が『学校基本調査』という統計調査を実施しています。
博士課程を含めて、日本の大学生の進路が詳しくデータ化されています。

さて、平成28年度の博士課程の進路を見てみると…

全部で15,773人が博士課程を修了します。
そのうち、就職できるのは10,628人 (67.4%)だけです。
その中には、非正規雇用となる人が2,477 人(15.7%)もいます。一般的なポスドクもここに含まれます。
1,026人(6.5%)フリーターや1年未満の契約の研究員など、臨時的な仕事に就きます。
2,916人(18.5%)進学も就職もできてない状態です。ここには無給の研究員(!?)も含まれるそうです。
その他の進路は1,209人(7.7%)ですが、この中には進学の他に行方不明者死亡者も含まれます。成果の出ない研究を苦にして…正直よく聞く話です。

博士課程の就職状況は改善傾向!と言われますが、このデータを見て喜べますかね?

さて…

あなたは博士課程で生き残れますか?

同期が社会人として働いて金を稼ぐ中、ドクターとして研究し、論文を書き、アカポス、企業研究職を目指せますか?

もちろん、理化学研究所公的機関製薬の基礎研究、そしてアカデミックポストなど、優秀な博士が求められている仕事もあります。
その前提で、博士課程に進むには、修士とはケタ違いの覚悟が必要です。
学部の就活リベンジを修士で狙う人もいますが、一般企業を目指すなら修士が最後のチャンスと思いましょう。

 

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おわりに

大学院は楽しいですよ!!

…説得力ないですか?苦笑

何も考えずに修士に進んだ人は、研究が合わない、就活が厳しい…など悪い面ばかり見ています。
自分のキャリアを考えて、修士に行くべき人は、充実した大学院生活を送れるはずです。

どんな進路にも必ずメリットとデメリットがあります。
自分にとってベストの道を見つけたら、後ろを見ずに進むしかありません。
大学院という選択を後悔しないためにも、大学生のうちに自分のキャリアをよく考えておきましょうね!

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