大学院の入学試験…いわゆる”院試”は、研究職を目指す学生にとって避けて通れません。
筆者はバイオ系修士卒ですが、専門科目の勉強法は学部が学校により全然違います。
しかし、どの専門でも共通の院試科目が1つだけありますよね。
そう…英語です!
大学院を目指す学生、社会人にとって絶対に避けられない英語。
今回は最短で院試合格レベルに上げる効率的な英語学習法について、筆者の実体験ベースで書いていきます。
院試の英語で絶対に失敗したくない人は是非お読みください。
はじめに:受験校によって英語の勉強法を変えるべき理由
大学院を目指している人は、以下の記事も合わせてお読みください。
院試のリアル!大学院の難易度や外部受験、勉強法を修士卒が超主観で語ってみる
院試全体の難易度や科目、勉強時間から学歴ロンダリングまで、わかりやすく実態をまとめました。
筆者の体験と取材を元に、院試を受ける学生にとって『絶対に参考になる』記事に仕上げています。
さて、上の記事でも院試の英語について軽く触れていますが、英語科目は大学院によって試験形式が異なります。
大学院ごとの英語科目の項目をもう一度抽出しましょう。
大学・専攻 | 英語科目 |
東大 農生 応生 | TOFEL ITP受験 |
東大 情報理工 | TOEFL ITP受験 またはiBTスコア提出 |
京大 農学 | 独自試験 |
阪大 情報科学 | TOEIC、TOEFLスコア提出 |
阪大 工 応化 | TOEIC、TOEFL iBT、 またはIELTSスコア提出 &独自試験 |
上位国立のほんの一部ですが、東大はTOEFL ITPまたはTOEFL iBT、その他の大学はTOEICまたは独自試験がメインとなります。
TOEICはここに掲載していないほとんどの上位国立大でも採用されています。
推薦入試では、TOEICやTOEFLのスコア提出以外にも、英文読解や英作文が課されます。
IELTSは割愛します。英豪などへの留学経験者などが該当するでしょう。
このように、試験形式は様々…。
しっかり英語力を鍛えていれば対応できますが、やはり英語は受験校に合わせた試験対策が必要だとわかりますね。

スコア提出と英語科目への換算
院試におけるTOEIC、TOEFLスコアの取り扱い
TOEICやTOEFLのスコアを提出する場合、スコアが英語科目の点数に換算されることになります。
筆者の観測範囲では、院試の合格ラインは5〜6割程度というのがメジャー。
まず『平均60点以上で合格、かつ英語+専門3科目が同じ配分』の院試を仮定しましょう。
この場合、英語で100点であれば、専門は平均47点でも合格できる計算になります。
逆に英語で20点しか取れなければ、専門は平均74点以上とる必要があります。
英語の配点は大学によって変わります。
自分が英語で何点取れば合格できそうかシミュレーションしておきましょう。
大学院生の基準はTOEIC600点
TOEIC公式のデータを見ると、日本の大学生のTOEIC平均スコアは568点、大学院生が605点となっています。1
筆者みるおかの専攻では、英語科目をTOEIC860まで換算し、TOEIC860点以上は英語満点扱いとなっていました。
TOEICスコア600だと院試では50〜60点にあたります。
語学系は別次元ですが、一般的な理系専攻であれば、TOEIC600点が1つのボーダーライン。
院試で足を引っ張らないために、まずはTOEIC600点を確実に取りましょう。
筆者がTOEICのスコアを爆速で伸ばした方法
TOEIC、TOEFLの参考書、問題集はたくさんあります。
ここからは筆者が使用し、結果を出したテキストのみをピックアップしながら、勉強法を紹介していきます。
英語がとにかく苦手!TOEIC500点以下の人が最初にやるべきこと
筆者はTOEIC500点台から2ヶ月足らずで745点までスコアをアップさせています。
最初は、何を話しているかわからない…時間内に終わらない…単語もわからない…と散々な状態。
このまま2時間の模擬問題を解いても、英語アレルギーが発症します。
そういう方はまず、英語の構造を理解するための文法から勉強しましょう。
この図をごらんください。
TOEIC…というより英文を理解するまでのステップは、
- 英語の構造が理解できる
- 文脈や時間軸が理解できる
- 文章から心情や背景がイメージできる
という流れです。
そのため、文脈や感情に関する文法が理解できても、英文構造を作る文法を理解していなければ無意味です。
英語が苦手な人はまず『品詞と文型』を重点的に勉強し、そこから比較や時制など、文脈を作る英文法を覚えてましょう。
リスニングに関しては、とにかくTOEICの問題を繰り返し聴くことに尽きますね。
リスニングで重要なのは『時間』と『人』と『数』です。
英語が苦手な人は5W1Hと数字、主語、人名に全集中力を捧げましょう。
TOEICに限らず、リスニング形式のテストでは基本テクニックです。
リスニングは語彙力と同様、こなした数が能力に直結します。
TOEFLレベルでは勉強法を工夫しないといけませんが、TOEICレベルならやるだけスコアが伸びます。
同じ問題を繰り返すだけでOKなので、聞き取れるまで何回もチャレンジしましょう。
新しい問題を聞いても、聞き取れる範囲が広がっていることに気づくはずです。
初心者向けのTOEIC関連テキスト
『英語が苦手だけどTOEICスコアを伸ばしたい』人に1つしかオススメできないならこの1冊です。
PART毎に問題を解きながら解説していくスタンダードなテキストです。
英文法理解のノウハウ、TOEIC解法テクニック、そして筆者のコラムという構成です。特に英文法が素晴らしく充実しているので、TOEIC初心者〜中級者までは十分な知識を得られます。
600点突破を掲げてますが、700点突破までは十分狙えるテキストですよ。
ただし、付属の模試は本番より問題が少ないので、時間感覚を身につけたい人は、後述のTOEIC公式問題集と合わせて勉強しましょう。
英文法はこのテキスト1冊でマスターできます。
以前は『総合英語Fores 解いてトレーニング』をおすすめしていましたが、こちらは廃刊となっています。
Forestと同じ作者が揃い、新版として出版されたのがEvergreenです。
院試を受けるレベルの人は、大体の英文法はマスターしていると思います。
Evergreenでは細かい単元までカバーしているので、ド忘れした時もこれ1冊あればOKですね。
TOEIC単語の決定版でしょう。
単語帳には珍しく”日→英”がメインの構成なので『なんとなく』の回答を許しません。
得点別に必要な単語が分かれているので、自分のレベルに合わせて勉強できます。
専用アプリで音声も全て聞ける(速度調整つき!)ので、リスニング対策にもなりますよ!
特別な勉強法は不要!院試を『英語で稼ぐ』ならTOEIC800を目指せ!
筆者がTOEIC700を超えてから865に達するまでに実践した勉強法は1つだけです。
その方法は『ひたすら公式の問題を解くだけ』です。
大学受験を乗り越えた人なら、よほど英語が苦手でない限りこの1冊だけでOKです。
基礎ができている人は『TOEIC公式問題集』1冊だけでOKです。
公式問題集は200問の模試2回分つき。
問題ごとに文法と重要単語、フレーズを解説しているので、抜けている知識も穴埋めできます。
400問こなせば、登場した英単語を覚えるだけで単語力が身につきますね。
TOEFLで院試合格を目指すための勉強法
TOEFLは留学のスタンダードとなるネイティブ基準のテストで、TOEICハイスコアラーがことごとく撃沈しています。
基本的にどの大学も院試ではTOEICを使えますが、東京大学の大学院ではTOEICが使えず、TOEFL ITP受験、またはTOEFL iBTのスコア提出を課している専攻が多いです。
ここでは、TOEFLスコアを伸ばす方法について簡単に解説します。
なお、ITP、iBTいずれもTOEICよりはるかに難しくなります。
TOEIC600点以下の人は、まずはTOEICで英語の基礎を学びましょう。
参考までにTOEIC、TOEFL iBT、英検の一般的なスコア換算表を置いておきます。
TOEIC | TOEFL iBT | 英検 |
990点満点 | 120点満点 | |
990+ | 111 | 1級 |
880 | 100 | |
800 | 88 | 準1級 |
730 | 80 | |
600 | 62 | 2級 |
450 | 45 | 準2級 |
あくまでも目安です。
スピーキングやライティングが苦手な人、専門的な単語を知らない人は、換算表よりもTOEFLスコアが低くなるでしょう。
テストに合わせた対策が必要ですね。
TOEFL ITPとは
TOEFL ITPは団体テスト向けのTOEFLで、大学教育への導入も進んでいます。
試験はリスニングとリーディング、そしてTOEICのPart5に類似の文法問題で構成されます。
スピーキングとライティングはありません。
マークシート式の試験で、iBTと類似の試験形式ですが、比較的簡単なトピックを扱っています。
ちなみに筆者がTOEIC865時点で、TOEFL ITP模試の正答率は60%前後でした。
全くTOEFL ITPを勉強せずに模試を解いた時です。
基本的にTOEICの勉強方法をそのまま活用できます。
しかし、専門的な英単語が登場するので、専門外の長文やリスニングだとチンプンカンプンになります。
iBTと同じく、大学の授業やキャンパスライフが問題となりやすいので、『physiology(生理学)』や『immunology(免疫学)』といった学問を表す英単語を覚えておきましょう。
専門外の授業だと日本語でもわかりませんよね。苦笑
『英語は聞き取れるけど…これは何の授業だ…?』
TOEFLは英語力だけではなく教養も必要ですね!
スコア提出ならTOEFL iBTで65以上を目指す
TOEFL iBTはリスニング、リーディングに加えて、スピーキングとライティングが登場します。
留学を目指すならTOEFL iBT80以上を狙いたいですが、上位国立理系の院試合格だけであればiBT 70取れれば足を引っ張ることはありません。
リスニング、リーディングに関しては、ITPの章と同じようにTOEFL特有の表現、英単語に注意しましょう。
スピーキングとライティングに関しては下記のテキストで実践あるのみです。
TOEFLおすすめテキスト:筆者が2ヶ月で留学ラインまでスコアアップした方法
筆者がTOEFL iBTのスコアアップに用いた教材と勉強時間は以下の通りです。
留学審査のために用いた教材ですが、難易度が低めの教材を中心に使ったので、院試勉強にも最適なテキストばかりです。
【勉強時間】1日1時間、休日2〜3時間(平均)
【TOEIC】TOEFL勉強開始前でTOEIC865
【スコア推移】TOEFL iBT 74→88
【勉強中の集中力】MAX
【リーディング、単語】受験英語からのTOEFL Test iBTリーディング
【リスニング】まるわかりTOEFL iBTテスト リスニング|Jリサーチ出版
【スピーキング】TOEFL TEST対策iBTスピーキング|テイエス企画
【ライティング】TOEFL TEST対策iBTライティング|テイエス企画
【発音】DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本|ナツメ社
リーディングは長文から英単語までカバーできるものを選びました。
リスニングに関しては、より初心者向けの参考書を使用しました。TOEFL iBT80までなら十分対応できるので、院試合格を目指す学生には最適ですね。
TOEFL ITPだけならこの2冊で十分です。
スピーキング、ライティングは受験や留学対策で有名なTOEFLゼミナールから発売されている問題集です。
簡単すぎるという口コミもありますが、難易度、わかりやすさともにTOEFL iBT初心者〜スコア90までなら十分すぎるクオリティです。
発音も矯正しておくと、スピーキング対策だけではなく、海外での学会発表など、院試合格後にも役立ちます。
独自試験の最大の対策は学術論文!長文和訳と英作文の勉強法
英語に独自試験がある大学院では、そのジャンルの長文和訳や、研究に関する英作文などが問題になります。
さて、独自試験の突破に必要な単語力、リーディング、ライティング、専門知識、論文表現が一気に身につく夢のような方法があることを知っていますか?
それは、自分の専門の『学術論文を読むこと』です。
研究室でも論文を読まされているかもしれませんが、独自試験に必要な能力は論文読解だけで身につきますよ!
院試に英語を課す目的は、研究に英語が必要だから…
もっと言えば、研究者には論文読解や英語のプレゼン能力が必要だからです。
その能力を測るための独自試験ですから、学術論文が原点です。
科学英語の基本から学びたい人は、この参考書が最適です。
軽めのボリュームですが、論文作成やプレゼンに必要な英単語や、その関連フレーズを体系的に学べます。
大学院に入学してからも使える参考書ですね。合格したからと言って捨てちゃダメですよ!
おわりに:大学院を目指す人におすすめの記事
院試の英語対策はここまでです!お読みいただきありがとうございました。
最後に、大学院、研究者を目指す人に書いた記事を簡単に紹介して終わりたいと思います。
自分の目標に向かって頑張って勉強しましょう!
理系大学院生のリアルな就活とは!就職できない専攻と博士の闇を暴露してみる
大学院修士が2年、博士では最低でもさらに3年(論文が書ければ短縮あり)を過ごすことになります。
博士課程を出る頃には学卒社会人は5年目…この期間を『学問』で過ごすわけですから、大学院の選択は間違えられません。
この記事では、大学院生のリアルな就活や学歴差別、博士課程が就職難である理由などをデータと本音で語っています。
研究者を目指す大学生、高校生は必見の記事です。
農学、化学、食品系の学生に人気の食品メーカー技術系の仕事について、筆者の経験を元に解説しています。修士でも受験者が多い営業職の実態についても併せて読んでもらえると嬉しいです。
仕事内容から、ブラック企業orホワイト企業の実情までリアルをまとめています。
記事はここまで!それでは。
脚注
- TOEIC Program DATA&ANALYSIS|一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会
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