就職・転職

食品メーカー研究開発職として働くということ:仕事内容や給料、激務度などの実情を語ってみる

投稿日:2017年2月22日 更新日:

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僕は新卒で就職してからずっと食品・化成品の研究開発職としてキャリアを歩んできました。
2回の転職を経て業界や仕事内容は変わりましたが、一貫して技術畑にいます。
理系の大学生、特に生物・化学系専攻には人気の業種・職種ですよ。そして狭き門…。

食品メーカーで開発していると言うと、

『毎日おいしいもの食べてるの?』

なんて言われることも多いですが、楽しいことも、それなりに大変なこともありますよ!

今日は"中の人"視点で仕事内容や給料、学歴、ライフワークバランスなどの実情を書いていきたいと思います。

 

研究開発職の仕事の流れ

業種や研究内容によって全く違いますが、ここでは僕の実体験をベースに、食品メーカーの開発職における一般的な仕事のサイクルを書いていきます。

1日のサイクル例

時間 内容
出社後 メールチェック
夜間に仕掛けた分析データ確認
9:00- 長時間の実験、分析は朝一で開始
9:30- 研究員の試作品を試食
10:00- 顧客と打ち合わせ
営業同行、商品提案など
12:00- お昼ごはん♡
13:00- レシピ検討&試作
16:00- 研究員の試作品を試食
16:00- 工場で担当商品の
生産状況を確認
16:30- 実験データ回収&確認
分析機器を仕掛けて帰宅

ご覧の通り、分析、試作、工場、営業同行など、業務が多岐に渡ります。

理系学生には『コミュ障で営業は無理だから…』という感覚で技術系を選ぶ人も多いですが、普通にコミュニケーションだらけです(^p^)
特にB to Cの商品開発は、百貨店等の小売や飲食店など顧客とのやり取りが非常に多いです。
静かに仕事したいなら、せめてB to Bメーカーで技術系の中でも研究寄りの職種を選びましょう…。

また、上記のサイクルでは試食は2回だけですが、回転数の速い商品(コンビニ向けなど)を扱っている場合は、それだけ新商品開発のサイクルも速いため、試食の頻度も増えます。
朝イチで試食、その後試食、昼食を食べて午後に顧客に提案(一緒に試食)、午後に試食して、帰宅前に試食みたいな1日もありますよ!

油断すると"食品研究開発のくせに食べ過ぎで血液ベットベト"みたいなことも…

まぁ、味の評価が終わったら飲み込まずに吐き出せばOKです。
(僕は飲み込む時の風味も評価したいので食べる派)

ライフワークバランス

これも企業によりまちまちですが、研究職は営業に比べればライフワークバランスは安定している傾向にあります。
残業はあれど毎日夜まで接待…なんてことは少ないですからね。

とはいえ、三菱電機で違法残業により研究職男性が精神疾患、退職に追い込まれた事件もあります。
(報道内容を見ると、ブラック企業というよりブラック上司に当たったことが原因に見えますが…)

基本的に『好きなことを仕事にできている』人が比較的多い業種・職種だけに、メンタルを崩す人は少ないです。
とはいえ、夜間まで研究をすることもありますし、開発では外仕事も多くなります。

会社それぞれ…と言って終わらすのもアレなので、食品メーカーのブラック度に関わる『爆弾』フレーズを紹介しちゃいましょう。
(個人の意見です)

【番外編】入っちゃいけない!?会社のヒント

  1. コンビニ向け商品
  2. 百貨店向け商品
  3. 商社直系メーカー
  4. 日配品(乳製品、畜産加工品など毎日小売店に配送される商品)

まず、最初に挙げたいのが『コンビニ向け』の商品を扱うメーカー。
コンビニは商品の回転が早く、早ければ一週間で切られることもあります。
お弁当やパン、レジ前商品(フライ、ドーナツなど)、その他惣菜を扱っているメーカーは要注意です。
『来週までにレシピ決定して形にして!』という指示は日常茶飯事です。
そして納期は絶対…
時間に追われながら『良いものを作る』を追求するのはハードです…

百貨店向け商品も結構キツいです。
理由はただ1つ。PB品に対する圧力がハンパないからです。*1
リニューアルの依頼も遠慮なく届きます。安定生産と利益率に目が眩んで、百貨店の言いなりとなっているメーカーも少なくありません。
PBに関してはコンビニも同じですが、PB品専用の工場、生産ラインを作っているメーカーもあります。切られたらどうするんだ…w

次は商社直系のメーカー。
三菱、住友、伊藤忠…食品を扱う企業を傘下に持つ商社は数え切れません。
激務というより、商社の社風を引きずって成果や金額にドライな会社が多く、実績に応じて簡単に切り離されたりと落ち着きがありません。
『食品メーカーっぽい』穏やかな雰囲気を期待するとギャップが大きいでしょう。

最後は日配品です。
簡単に言うと『腐りやすい』商品を扱い企業は、それだけ品質保証、開発、製品設計のハードルが高くなります。製造現場もピリピリ。
その分、スキル面、知識面でのレベルアップは間違いないですよ。
逆に、賞味期限が1年以上あるような調味料などは、製造面でのリスクが比較的少なく、穏やかな雰囲気の企業が多い印象です。

狙い目はやはりB to B

既述の通り、B to Cメーカーは相手が一般消費者のため、ロジックが通じない部分も多く、生産側の負担は大きくなります。

B to Bメーカーも企業間の"しがらみ"など、面倒な部分はありますが…
既存顧客が多いことに加え、『正しく有益なデータ』を提示すればすんなり商談がまとまることも多く、商品開発としてはやりやすいですね。

また、トラブル発生時には、相手が企業なのか消費者なのかでダメージは大きく違います。
内容に応じてプレスリリースするなど、誠実な対応は求められますが、相手が企業の場合は金銭的な負担で終わりです。
しかし、一般消費者へ波及した場合、全国からの回収に加え、SNSへの掲載風評被害&デマなど…必要以上のダメージを負うことも少なくありません…。

とはいえ、店頭に自分の開発した商品が並ぶのは、B to Cならではの醍醐味!
自分の理想のキャリアと相談して決めましょう。

 

職種と仕事内容

メーカーにより様々ですが、基本的に『技術系』は職種をまたぐ仕事が多いと考えてください。
食品メーカーで製薬のように研究にどっぷり浸かれるのは、研究費トップクラスの大手企業だけです。多くのメーカーでは、1人の人間が基礎的な実験から製造ラインまで携わります。
ここでは、各職種を簡単に紹介していきます。

研究職

シーズを探す基礎研究、工業化を意識した応用研究に分かれます。
ジャーナルを書いて博士を取ることも可能ですが、最近はノウハウを特許として囲おうとする傾向が非常に強いです。
”研究職”という言葉は非常に曖昧で、実験〜商品開発まで、あるいは工業化までを担う人間を『研究職』として募集することも多いです。
就活の際は『研究職としての職務範囲はどこまでか』を聞いてみても良いでしょう。

商品開発職

製法検討&試作だけでは終わりません。
新製品の製造にも立ち会いますし、営業同行もします。

営業さんは商品の強みは理解していても、実験に基づく細かいデータまでは把握できていないことが多いです。
そのため、顧客からの質問に間違った返答をすることもしばしば…
営業の技術的なカバーも商品開発の大きな役目です。”技術営業”という職種がある企業もあります。

基本的に食べるのが好きだと天国、少食だと地獄です(ニッコリ
あとプライベートで自社商品を食べなくなります。

生産技術職

製法のスケールアップなど、研究職が工場で仕事をすることも少なくありません。
東大の院卒が高卒の工場長に怒鳴られ、プライドを叩き折られる光景も…(苦笑

基礎研究だけだと社外で通用しないことがほとんどですが、工業化まで見れればどの会社でも重宝される人材となります。
”視野の広い研究職”というのは常に人材不足です。

食品メーカー研究職と学歴

率直に言うと、食品メーカーの研究職は学歴がモノを言います。
事務系で日東駒専クラスがスタンダードな企業でも、研究では旧帝大、東工大、神戸、大阪府大・市大、農工大以上の修士卒だらけということがほとんど。

食品メーカーの研究職希望が多い生物系の修士は求人に対して飽和状態です。
そもそも研究職なので『勉強ができる』が評価される場所でもありますし、高学歴から順に採用されるのはまぁ当たり前です。綺麗事抜き…。

ただ、研究職の場合は、選考で研究発表がありますし、実験だけしてきた高学歴は就活で失敗しやすいです。
ジャーナル掲載などの特筆すべき結果があれば別ですが、修士レベルの研究結果で結果が左右されることはありません。
計画の構築・実行、そしてプレゼンテーション能力まで含めた『研究』をしっかりこなしてきたかを見ています。

 

食品メーカー技術系職種のキャリアプラン

給料は高い?低い?

基本的に大学院修士卒からの募集になるので、初任給は学卒と比べて2万円程度高くなります。
その後の年収カーブは事務系職種と差はありません。

そもそも、新卒から定年まで研究所にいられることは稀です。
工場の要職に就いたり、営業や品質保証部に異動したり…
よほどの成果を残さない限り、研究職としてキャリアを全うできることはまずありません。

既述の通り『好きを仕事に』の人も多い職種です。
中堅社員となってマネジメント業務が増えた後に、プレイヤーとして研究漬けの生活に戻るために転職する人もいます。
お金に執着がある人が少ないのも特徴でしょうか。

 

結果に対する見返りは少ない

2001年に青色発光ダイオードの関する特許訴訟があったのをご存知でしょうか?
企業が特許権の帰属を、研究者は成果に対する支払いを主張しました。

ジャーナルへの掲載、特許取得、新薬の合成…
これらの成果に対する報酬がまだまだ少ないのが日本です。
私が以前勤めていた企業では、優秀な研究者、技術者には実績に応じて50〜100万円の報奨金がもらえましたが、これでも正直かなりの優良企業。
他の先進国と比べると『お小遣い』程度なのが現状です。

良くも悪くも『横一線』の色が強い日系企業。
優秀なスキル、知識を持つ国外への流出が懸念されています。

 

技術系職種と『出世』

研究開発のトップが研究所長ですが、多くのメーカーでは途中で他の技術系職種や海外工場に異動となります。
研究1本の人間が役員クラスまで上り詰めることはまずありません。

やはり研究一筋だと視野が狭くなります。
メーカーの本質である『ものづくり』『モノを売る』という現場の最前線を経験していないことは、会社の中核を担う上で大きな障害となります。

営業部門やマーケティング、工場の立ち上げなど、他の職種を経験してスキルを身につけた人間がキャリアアップする傾向にあります。

特に商品開発職は営業、または研究との関わりも強い職種です。
研究職一本で就活するのも良いですが、他の職種に異動する可能性が高いことも覚えておきましょう。

 

おわりに

食品メーカーで毎日おいしいモノを食べてばかりの商品開発職…
ウソではありませんが、それなりに苦悩も多く、キャリアプランも様々です。

お菓子総選挙など開発担当者をメディアが取り上げる機会も増えてきました。
なんといっても自分のアイデアが形となり世に出るのが醍醐味です。

大学を出ても毎日勉強の仕事ですが…それでも自分の仕事を好きな人が多い職種です。
就職活動を控えている学生、そしてキャリアチェンジを考えている転職希望者の方の参考になれば幸いです。

*1:プライベートブランド:小売店が企画し、自社商品として売り出す形態を指す。メーカーは”委託製造”という形になるが、一定数かつ大規模の生産が安定するため、コスト安になりやすい。反面、企業ブランドの商品(NB品)と競合することに加え、製造量や仕様変更は小売先に依存する。リニューアルが頻繁にあることも特徴。トップバリュ(イオン)、情熱価格(ドン・キホーテ)、ファミリーマートコレクション(ファミリーマート)などが代表的なPBであり、いずれも大手〜中堅企業が委託製造していることが多い。

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