食品科学の基礎知識

水分補給にベストな飲み物とは?熱中症対策に役立つ『水分』の基礎知識

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日本はメリハリのある四季が魅力…とはいえ、夏の暑さ、特に都会のヒートアイランドは本当にきつい!熱中症に一直線です。
炎天下だけではなく、熱中症はスポーツ家の中でも注意が必要!水分補給に気をつけないと、命に関わることもあります。

さて、水分補給といえばポカリやアクエリアスなどのスポーツドリンクを思い浮かべるかもしれません。
必要な糖分塩分に加え、アミノ酸なども配合され、スポーツやトレーニングに最適化された飲み物です。

ところで、水分補給といえば『経口補水液』を知っていますか。
大塚製薬が発売している経口補水液OS-1なら見たことがあると思います。

経口補水液は『飲み物』というより、脱水症状や熱中症の治療、応急措置における水分補給に使われます。

今回は、日本の暑い夏を乗り切るために知っておきたい水分補給の基礎知識と、OS-1をはじめとした経口補水液や、スポーツドリンクとの違いを解説しながら水分補給に最適な飲み物をまとめていきます。

 

【参考】
経口補水療法ハンドブック―熱中症、脱水症に役立つ 脱水症状を改善する「飲む点滴」の活用法(日本医療企画
基礎栄養学(南江堂)、サントリーのエコ活
大塚製薬|製品情報|経口補水液OS-1
コカコーラ|アクエリアス製品情報|水分補給のポイント など

効率的に水分補給するための重要ポイント!

塩分と水分補給:汗をかくとどうなるの?

『塩分を摂りすぎないようにしましょう!』

医者や栄養士から注意されている方もいるでしょう。
塩分、特に食塩由来のナトリウムは過剰摂取が問題視されています。
過剰摂取は高血圧や各種成人病の原因となり、日本人も減塩食がすすめられています。
ナトリウムが通常の食生活で不足することはありません。

しかし、例外的にナトリウムが不足するシーンがあります。
それが大量の発汗重度の下痢などです(各種疾患は割愛)。

汗の成分は個人差や環境要因に左右されますが、を主成分として、ナトリウムカリウムマグネシウム亜鉛といったミネラル、そして乳酸尿素などの老廃物が含まれます。
汗をかくたびにこれらの電解質1が失われます。

こういった電解質を含まない水を過剰摂取すると、低ナトリウム血症などの水中毒になることはよく知られています。
発汗時に水をがぶ飲みした程度で水中毒になることはまずありませんが、発汗と水の過剰摂取を繰り返したりすると危険です。

スポーツドリンクや経口補水液、ソルティライチなどの塩入りドリンクを各メーカーが発売していますので、シーンに合わせて水分補給しましょう。

 

経口補水液ってなに?

経口補水液は、脱水状態で不足する水分と電解質(塩分やその他ミネラルなど)の吸収に特化した飲み物です。

『のどが渇いた…』というレベルではなく、生理的な『脱水状態』を治療するため、水分と電解質の吸収効率に特化した飲み物として開発されたのが経口補水液です!
元々は途上国での飢餓や感染症による脱水を治療するために開発されましたが、先進国でも熱中症下痢胃腸炎など、水分&電解質が失われるシーンはたくさん!

メーカーの工場など、暑い職場では経口補水液が常備されていることも多いです。
それだけ、脱水症状は身近にあるのです。

 

水ってどれくらい飲めば良いの?1日に失われる水分量

ポカリで有名な大塚製薬は成人が1日に排出する水分量は約2.5Lと報告しています。
食事や代謝産物として1.3L摂取され、残りの1.2Lを飲み物から取らなければいけません。

通常の生活では、水分補給は飲用水でもミネラルウォーターでも問題ありません。
電解質は食事から摂取できますし、急な発汗、下痢がなければ電解質をむりやり飲み物から摂取する必要はありません。
朝一に水を飲むとパッと目が覚めますよね!起きぬけの水分補給は僕の習慣です。睡眠中は発汗しますからね。

また、1回で飲むべき水分はコップ1杯程度が最適です。
ヒトの体が無理なく吸収できる量が150〜250mL程度。
間違っても『朝に1リットル一気に飲んだから今日はもう水分いらないぞ!』なんて考えないように!

 

【水分補給と飲み物】結局何を飲めば良いの?

まずはじめに、結論を簡単にまとめておきます。

  1. 日常生活の水分補給は、あまり神経質にならず、水でもスポドリでもOK!
  2. ただし、利尿作用のあるカフェインなどは『水分補給』には不適
  3. スポーツなど発汗とエネルギー消費が多い時は、アクエリアスやポカリスエットなどのスポーツドリンクが最適!
  4. スポドリはカロリー、糖分が高いため、発汗&非運動時はイオンウォーターなど低カロリー(=低浸透圧)のスポーツドリンクやミネラルウォーターがおすすめ!
  5. 経口補水液は医師の指導下、または熱中症、脱水症状時に。日常生活には不適!

この根拠をこの章で解説します。

 

スポーツドリンクと経口補水液ってどう使い分ければ良いの?

経口補水液は脱水状態の『治療』に用いられ、基本は医師や栄養士の指導下で飲むものです。
もちろん健康な時に飲んでも問題ありませんし、明らかに熱中症とわかる時には効果的です。
特別な原料を使っているわけでもなく、注意点は日常的にがぶがぶ飲むと塩分の過剰摂取につながることだけです。

ミネラルに加えて糖分、アミノ酸などを取れるスポーツドリンクは、エネルギー源としても優秀で、トレーニングスポーツに最適です。
ただし、飲みすぎると糖分の過剰摂取につながるので注意!

イオンウォーターアクエリアスウォーターなどは、適度に電解質を含みます。
日常生活の水分補給にはカロリーと糖分が少ない方が嬉しいですよね。
特に、浸透圧が低いこれらの飲み物は水分の吸収速度も速いです。

普段の水分補給は、必要な電解質は食事から取れるため、スポドリでも水でもOKです。
そのため、日常生活ではOS-1などの経口補水液は不要です。嗜好性も低く、経口補水液で電解質を取るメリットがないからです。

『水分の吸収性』について少し詳しく解説しましょう。

 

浸透圧と水分補給:水を吸収しやすい飲み物とは

『浸透圧』という言葉…高校の生物で聞いたことがあるかもしれません。
名前の通り、浸透圧は物質が浸透する圧力を表し、水(溶媒)に溶けている物質の数に比例します。
スポーツドリンクではほぼ糖分に比例します。2
ここでは、水分は浸透圧が低い方から高い方に移動するということがキーワードです。

浸透圧を利用した飲み物がアイソトニック(等張圧)飲料ハイポトニック(低浸透圧)飲料です。

アイソトニック飲料細胞と浸透圧がほぼ同じになるように物質濃度を調整した飲料です。
アクエリアスやポカリスエットなど、主なスポーツドリンクはアイソトニック飲料になります。
吸収過程での消化器への負担が軽いことに加え、塩分やミネラル、糖分を含むため、発汗で失われる水分やミネラル、そしてエネルギー源を効率よく補給できます。

ハイポトニック飲料細胞より浸透圧が低い飲み物です。
そのため細胞内に水分が移動しやすくなるため、アイソトニック飲料より水分の吸収性が高くなります。3
経口補水液OS-1などの熱中症対策ドリンクはハイポトニック飲料になります。
ヴァームウォーターなどもハイポトニック飲料ですね。これらは水分補給に優れたスポーツドリンクとして発売されています。適度に塩分が高く、発汗で失われた成分を補えるため、水分補給に優れます。

細胞より浸透圧が高い飲み物はハイパートニック飲料と言いますが、水分の吸収効率も低く、カロリーも高いため、水分補給にはあまりおすすめできません。
市販のジュースやコーラなどが該当します。

 

『水分吸収』と『水分保持』は違う!水の飲みすぎが逆効果な理由

水分の『吸収』には浸透圧(モノが溶けている量)が影響すると言いましたが、吸収した水分がすぐ排出されては意味がないですよね。
コーヒー眠眠打破などに含まれるカフェインは利尿作用があるため、水分補給にはNGです。

尿(おしっこ)は水分だけではなく、体の電解質の量も調整しています。
食塩の過剰摂取によって、体のナトリウム量が増えたらたくさん排出し、逆に少なくなったら尿で排出されないよう再吸収します。この働きをするのが腎臓ですね。

水分だけを大量にとりすぎて体の電解質濃度が薄くなると、体の状態を保つため、水分を排出しやすくなります。
実際に、ミネラルに加えて3%以上の糖分があると、体内の水分保持率が上がるという報告4もあります。
やはり水分補給には適量の電解質(塩分、糖分)を含む飲み物が理想です。

最後に、市販の飲み物を水分吸収やカロリー、飲用シーンによって分類しました。

 

水分の吸収性とミネラル量で見る市販のスポーツドリンクの分類

ここでいったんおさらいしておきましょう。

  • 浸透圧が低いほど、水分の吸収効率は良いが、電解質がないと排出されやすい。
  • 特に、発汗が多い時は電解質の摂取が必須。
  • 浸透圧が細胞と同じアイソトニック飲料も効率的に吸収され、適度な栄養分を含むが、カロリー、糖分が気になる。
  • 浸透圧が細胞より高くなると、水分補給の効率は悪くなる(=ジュースやコーラなど)。カロリーも高くなるため、健康よりも嗜好が優先。

これらを参考に、カロリーと糖質の量(≒浸透圧も高い)と、発汗のケアに必要な電解質、ここではナトリウム+カリウム量を基準に、ざっくり図で表してみました。

ハイポトニック飲料ゾーンは電解質を十分含みつつ、低カロリーなので、日常生活の水分補給におすすめです。
アイソトニック飲料ゾーンは比較的高カロリーでアミノ酸なども豊富な商品が多く、スポーツや力仕事のお供におすすめです。
ちなみに、ジュースなど、糖質を7g以上含むようになると、高浸透圧ゾーンとなり水分の吸収効率が下がってきます。
経口補水ゾーンは、塩分が高く、日常的な水分補給にはあまり向きませんが、熱中症やひどい下痢などの脱水時に活躍します。

もちろん、このグラフはあくまで目安です。
アクエリアスZEROはスポーツには向かない!ポカリは日常飲んではダメ!ということは全くありません。経口補水液だけガブ飲みしないように。
適度な頻度で適度な量であれば、どれを飲んでもOKです。

余裕があれば糖質塩分を見ながら、自分の好きなスポーツドリンクで水分補給しましょう。

最後に、このグラフの元データを参考として置いておきます。

商品名 kcal 糖質(g) Na(mg) K(mg) 合計
精製水 0 0 0 0 0
いろはす 0 0 0.69 0.16 0.85
アクエリ
ZERO
0 0.7 40 9 49
OS-1 10 2.5 115 78 193
アクエリ
経口補水
11 2.7 100 80 180
イオン
ウォーター
11 2.8 54 20 74
KIRIN
ラブスポ
14 3.4 50 5 55
アクエリ
クリア
16 4.0 40 0 40
DAKARA 17 4.2 0 47.7 47.7
アクエリ 19 4.7 40 8 48
GREEN
DAKARA
20 4.9 40 7 47
ポカリ 25 6.2 49 20 69
ソルティ
ライチ
34 8.4 44 13 57
みるおか
大切なのはガブ飲みしないで、継続的に適量ずつ水分補給すること!
特に夏は屋内でも熱中症になります!水分補給を特に意識しよう!
神経質になりすぎず、自分のベストドリンクを探しましょう!

おわりに

『水分補給』という人間が生きる上でいちばん大切な習慣について解説しました。

人間の60%は水分です。乳児では80%近くになることも。
現代人はとにかく『水』を飲む人が少ないです。
栄養バランスも大切ですが、なによりもまず体内の水分バランスを保つことが重要です。

わたしの体もしかして水不足かな…と思った人はこれから少し『水』を意識してみてください。

朝起きた時や運動前後、ちょっと疲れた時など、コップ一杯の水を飲むだけでパフォーマンスが大きく変わりますよ!

 

脚注

  1. 水に溶けてイオン化する物質
  2. 基本的にスポドリをはじめとした清涼飲料水の糖質のモル濃度は、食塩や他のミネラルと比べてケタ違いなため。糖質カット、カロリーオフ飲料は例外となる。
  3. アイソトニック飲料を水で少し薄めるとハイポトニック飲料になる。
  4. Osterbergら(2010)
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