これまで頂いた食品や栄養に関する質問と答えをまとめました【Q&A集】

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これまで、このブログ、および別で運営している雑記ブログで食品科学や食レポ、栄養、健康に関する記事を数多く書いてきました。
両ブログ合わせて月間数十万人の方に見ていただくようになり、コメント欄やお問い合わせフォームなどで、個別に質問を頂くことも増えました。

ぶしつけな質問、態度でない限り、僕が答えられる範囲で質問にはお答えしていますが、せっかくなので、これまで頂いた質問と答えを共有するスペースを作成しておこうと思います。

食べ物に関するQ&A集として、この記事でまとめていきますので、興味のある方は是非一度ご覧ください。
筆者の知識レベルや考え方、専門の範囲についてもある程度把握していただけると思います。

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この記事と回答内容について

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筆者の簡単なプロフィールは以下の記事をご参考ください。

筆者のプロフィールとブログ紹介

当方では主に食品科学、注目の食品などに関して、論文等で報告されている数字を基に回答しています。

筆者は医療従事者ではありませんので、疾病の治療など、医学的な回答はできません。
また、このブログ等を通して生じたいかなる損害に対しても当方では責任を負いかねます。

以上をご理解の上、お読みいただけますと幸いです。

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質問と回答まとめ

バターの脂肪分はチーズやヨーグルトと同じ成分ですか?

全て牛乳由来のため同じ乳脂肪です。

バターは牛乳から脂肪分を分離したものであるため、油に溶けやすい脂溶性ビタミン(A、E、D、K)を多く含みます。
半面、水溶性ビタミンは、製造工程で脂肪分(バターやクリーム)とその他の成分(水分や乳たんぱくなど)を分離する工程で”その他側”にいきますので、牛乳やヨーグルトと比較して、バターのビタミン組成の中で水溶性ビタミンの割合は少なくなります。

普通のバターと発酵バターの違いはなんですか?栄養価は変わりませんか?

バターはクリームからさらに水分を除き、乳脂肪のみを精製したものです。
発酵バターはバターを乳酸菌で発酵させた(あるいは発酵させた乳成分から製造したバター)ものですが、栄養成分(炭水化物、タンパク質など)自体はバターと差はありません。

新たに乳酸菌由来の酸やその他成分を含みますが、発酵バターは健康面よりも風味を重視した食材です。
大部分は脂肪分であるため、ヨーグルトと同じ発酵食品として食べることはおすすめいたしません。

韓国に拠点を持つ食品工場ですが、定期的な訪韓とともに工場の合理化とコスト削減にご協力願えませんか?

無理に決まってんだろ。

乳幼児に一番おすすめのヨーグルトを教えてください

(1歳数か月の赤ちゃんがヨーグルトを食べたがるが、下痢をしやすいので困っているという状況)

乳幼児向けには、ダノン社からベビーダノン、プチダノンが発売されています。
カルシウム等の栄養成分を強化、酸味の少ない乳酸菌を使用、着色料不使用など、乳幼児でも食べやすいスペックだと考えます。

なお、ヨーグルトはそもそも下痢と相性は良くない(次章参照)ため、下痢を頻発するようであれば別の離乳食をおすすめします。
(下痢の原因が乳糖不耐症ではなく、腸内フローラの悪化による場合は、ヨーグルトによる改善効果が期待できます)

なお、赤ちゃんは免疫力が弱いため、自作ヨーグルトは厳禁です。

蜂蜜と乳児ボツリヌス症:5分でわかる子育てに重要な食中毒の基礎知識

『ヨーグルトには乳糖の大部分は残ったまま』について詳しく教えてください。

牛乳の糖質は乳糖といい、牛乳には4~5%程度含まれています。
日本人の多く(特に大人)は分解できないため『乳糖不耐症』による下痢の原因になります。

砂糖などを添加しないプレーンヨーグルトの場合、乳酸菌は乳糖を乳酸に代謝します。
しかし、ヨーグルト程度のpHでは、酸度(≒乳酸濃度)は多くても1%強であるため、仮にヨーグルトの乳酸がすべて乳糖を分解して生成されたものであっても、乳糖の70~80%は分解されないまま残っている計算になります。

アカディなど、乳糖の大部分を分解した『おなかがゴロゴロしにくい』牛乳もありますが、ヨーグルトで乳糖フリーを謳った商品は少ない(たまに発売されるがすぐ終売する)のが現状です。
製造工程において使用する乳糖分解酵素のコスト、およびそれに見合う販売量が見込めないのが原因と考えられます。

ヤクルトは定期的に飲まないと効果はありませんか?

ヨーグルトを始め、食品の健康効果に即効性はありません。
健康面で即効性がある場合は医薬品の世界になります。
バランスの良い食生活と継続的な摂取が前提です。

コンビニのサラダは変色防止や防腐剤などで栄養はなくなっているのでしょうか?

おそらく、野菜の殺菌に用いる次亜塩素水と混同していると思われますが、野菜表面の洗浄、殺菌が目的ですので、植物内部の栄養源がすべて抜けてしまうことはありえません。

野菜表面の細胞が傷ついて成分が抜けてしまう可能性がありますが、全体で見れば影響は少ないと考えられます。

例えば、野菜を粉砕して表面積を増やした上で、次亜塩素水に浸漬して殺菌した場合は、スッカスカになってしまう可能性がありますが、そのような工程を踏むメーカーはまずないでしょう。

なお、食品の劣化防止にはクエン酸(ビタミンC)やアルコール製剤などを用いることがあります。いずれにしても栄養成分に与える影響はほとんどありません。

ケールに便秘解消の効果はありますか?

青汁を含め、多くの野菜ジュースと同様に、食物繊維の摂取による便量の増大、排便促進効果は期待できます。
ただし、他と比べて特別な効果があるわけではなく『人による』としか言えません。

なにごとも自分にあった食材を選びましょう。

ヨーグルトが製造工場によって味が異なるというのは本当ですか?

製造工場により、牛乳、水が異なるため、わずかに成分が異なります。
牛乳も地域、季節(一般的に暑いと乳牛が疲弊して乳成分が薄くなる)、餌などにより成分や風味が変わってくるため、地域差が生じます。
味に敏感な人はその差を感じてしまうかもしれません。

乳製品に発ガン作用があるのは本当でしょうか?

牛乳やヨーグルトの中にはガン化を抑制する物質も発見されていますが、飲みすぎにより下痢を繰り返す(継続的に腸に負担をかける)など、間接的に発がん作用があるととらえる事は可能かもしれません。

乳製品に限らず、ほとんどの食品は過剰摂取によって『発がん性を見出す』ことは可能です。
極端な議論は避け、なにごとも適度に摂取すべきと考えます。

納豆と梅干を一緒に食べると納豆菌を殺してしまいますか?

梅干に含まれるクエン酸は殺菌効果を持ちますが、よほど大量の梅干とともに摂取しない限り、納豆に含まれる納豆菌を駆逐することは考えづらいです…。

そもそも納豆菌(枯草菌)は生きて腸まで届くタイプの微生物ではないため、食べたときに梅干で殺菌されても特に問題はありません。どちらにしても胃酸で死にます。

納豆の健康機能は、乳酸菌が生成した多糖類(ネバネバ)や大豆由来の物質などに見出されているため、梅ぼしと合わせて食べても問題ないでしょう。

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おわりに

今後も応えられる範囲で対応いたしますが、筆者のスケジュールや質問内容等によってはお答えいたしかねますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
なお、質問内容は質問者を特定しない範囲で、この記事にて共有していきたいと思います。

ぜひ読者登録(SNSボタン下)も宜しくお願いいたしします。