ダイエットや毎日のレシピ作りで気になるのがカロリー。
『カロリー制限』を毎日の食生活に取り入れている人も多いのでは?
さて誰でも知っている『カロリー』とは…
詳しく説明できますか?
『カロリーが高い』と言っても、カロリーの摂り方によってカラダへの影響はさまざま。
この記事ではカロリーの基礎知識から本質まで、簡単に解説していきます。
そもそもカロリーとは?
カロリーは熱量…すなわち、人が体を動かすために必要なエネルギーの単位です。
1カロリー(cal)は『1gの水の大気圧下で1℃上げるのに必要な熱量』と定義1されています。
これだけ聞くと『あぁ、理科で習ったような…』って感じですよね。
ここでは人間の体でカロリーがどう使われているか解説しましょう。
まぎらわしい用語たち:カロリー、エネルギー、ATP、熱量の違い
エネルギー…すなわち『熱』は、
- 筋肉や内臓を動かす
- 新しい細胞を作り、新陳代謝を促す
- 酵素の働きを促し、体の調子を整える
- 水分や栄養素を吸収する
- 発熱して体温を維持する
など、人間のあらゆる動きの源になります。
体がエネルギーを生み出せなくなれば、イコール死!
『カロリー制限』を簡単に捉えてはいけませんね。
さて、人間は炭水化物、脂質、たんぱく質の3つの栄養素を分解してエネルギーを取り出します。
これらの栄養素が分解される過程で『ATP』という物質が生成されます。2
このATPこそがエネルギーを生み出す物質です。
ATPは、分解される時に大量のエネルギーが放出されます。
この時放出される熱によって、体のあらゆる動きが可能になるわけです。
簡単にまとめると…
- 【熱量】体を動かすパワーの源。エネルギー。
- 【ATP】エネルギーを生み出す物質。栄養素の分解はこのATPを作るため。
- 【カロリー】熱量の単位。
ということになります。
食べ物からエネルギーを取り出すしくみ
ここでは、食べ物を分解し、エネルギーとなるまでを簡単に解説します。
図解でカンタン!栄養素が分解されるプロセス
まず、エネルギーを取り出す代謝の中心となるのが炭水化物です。
炭水化物は、細胞の中でグルコース(ブドウ糖)、またはフルクトース(果糖)という物質に分解されたあと、乳酸やピルビン酸という物質に分解されます。
その後、乳酸は細胞の中にあるミトコンドリアという器官に入り、二酸化炭素にまで分解されます。
この過程でATPが生産され、エネルギー源となります。
また、エネルギー代謝では『酸素』が必須!
そのために私たちは呼吸をしているのです。
たんぱく質はアミノ酸に、脂質は脂肪酸に分解され、最終的にはこのプロセスの中に入り、エネルギーとして利用されます。
エネルギーとして利用されない分は、炭水化物はグリコーゲンに、脂肪は中性脂肪として蓄積されます。
正しいカロリーの摂り方とは?
炭水化物1gで得られるエネルギーは4kcal。
たんぱく質も4kcal、脂質だと9kcalですね。
ここまではよく知られています。
脂質から取る1000kcal、たんぱく質から取る1000kcal…
エネルギー生産という意味では同じです。
もちろん、効率や分解工程は違いますが、どちらから生成されでもATPはATP、エネルギーはエネルギーです。
しかし、栄養学では、適正なカロリーバランスとして、
炭水化物:50〜65%
脂質:20〜30%
たんぱく質:13〜20%
(※重量ではなくカロリーベース)
が基本とされています。
PFCバランスとも言われますね。
(Protein:タンパク質、Fat:脂肪、Carbohydrate:炭水化物)
過剰摂取しがちな炭水化物を抑えるため『糖質制限』も人気ですが、
『糖質から取るカロリーは質が低い』
『たんぱく質から取るカロリーは質が高い』
という話ではありません。
脂質の取り過ぎは、中性脂肪を過剰に蓄積するリスクがあります。
動物性脂肪だと悪玉コレステロールの上昇にもつながりますね。
糖質の過剰摂取は血糖値の上昇を引き起こし、糖尿病のリスクをあげてしまいます。
しかし、最もエネルギー生産効率が良い糖質が不足すると、体全体の働きが低下します。脳の唯一の栄養源としても必須ですね。
高タンパクの食事は確かにヘルシーです。
しかし、慣れない人がアミノ酸を大量に摂取すると、肝臓に過負荷がかかり、かえって体の不調を引き起こすことも。
PFCはカロリーバランスで語られることも多く、”カロリーの質”が違うと勘違いする人もいますが、本質はエネルギー生産とは全く別のところにあります。
すべての栄養素は『過剰摂取も不足もアウト』と考え、バランスの良い食事を取っていきましょう。
おわりに
誰でも知っている『カロリー』について、エッセンスだけ簡単にまとめました。
食品表示を見ても『●●kcal』としか書かれていませんよね。
しかし、同じカロリーでも、体のなかでどう使われるかは食材によって全然違います。
数字だけにとらわれず、食材全体を見て、自分にあった食事を取っていきましょう。それでは。