就職や転職を目指す人にとって『どんなスキルが必要とされているのか』という情報は大切です。
経理であれば簿記、知財であれば弁理士など、資格をそのまま活かせる職種はわかりやすいですよね。
食品メーカーへの就職&転職を成功させるには?現役社員が解説する食品業界のホンネと有用ツール
上の記事では、食品メーカー就職、転職のリアルを解説しました。
この記事では、さらに『資格やスキル』について詳しくまとめて行きます。
食品メーカーには有用な独占資格が少なく、どうスキルをつけていくか自分で判断しないといけません。
管理栄養士などの独占資格で評価されやすいですが、特定の学校を卒業しないといけません。
普通の大学生や社会人にはハードルが高いですよね。
食品メーカーの採用では『なぜこの資格、スキルをアピールしているんだろう…全然関係ないのに…』と人事を悩ませる人も多いです。
そこで今回は、現役で食品メーカーで働いており、採用担当も経験した筆者が、
『こういうスキルがある人だと嬉しい!』
『こうアピールしてもらえると”おっ!”と感じる。』
そんな資格やスキルを紹介していきます!
食品メーカーの『営業職』向けのスキル、資格
業界、商品知識とトーク力がモノをいう世界だが…
食品メーカー営業の仕事内容やジャンル別ブラック度をまとめてみた
食品メーカーの営業についてくわしく解説した記事がこちらです。
法人営業からエリア別営業まで細かくまとめているので、営業職志望の人はあわせてご覧ください。
食品メーカーの営業職として、最低限の『業界知識』や『自社商品の知識』は必須です。
しかし、人柄やマメさ、コミュニケーション能力など、言語化するにはあいまいなスキルが多いのも現実。
ノウハウはわかっていても、その場その場で柔軟に対応しなければいけないのが営業職の仕事。
そんな仕事に必要な『資格』があるのか…ポイントは『話のタネ』をどう作るかです!
営業志望のあなたには趣味と実益を兼ねた資格を紹介しましょう。
『ソムリエ系』の資格が大活躍!?営業職は『好きを伝える』スキルがあれば最強!
『野菜ソムリエ』なんて聞いたことはありますか?
食品関係のアドバイザーなどに人気の資格です。中には芸能人でチャレンジしている人もいますね。
こういったソムリエ系の資格は、難易度がそこまで高くなく、商品知識も身につきます。
説得力が上がるだけでなく、トークネタが広がり、プライベートでも役立ちますよ。
『肩書きだけ』とバカにする人もいますが、大手メーカーの商品開発でもチャレンジしている人が多い資格です。
好きを客観的に、そして熱く語れる人は営業でも開発でも魅力的ですよね。
ソムリエ系と表現しましたが、ここでは商品知識や背景、歴史を体系的に学べる資格をまとめました。
食品メーカーの営業や商品開発職におすすめです。
日本酒検定 | フードコーディネーター | 野菜ソムリエ |
ソムリエ | スパイス&ハーブ検定 | 緑茶インストラクター |
チーズコーディネーター | 和食検定 | きき酒師 |
パンシェルジュ検定 | お米マイスター | 食生活アドバイザー |
これら基本的に誰でも受験資格があります。
『好きを仕事に』という人も多いのが食品メーカーです。
自分の好きな食品、担当している食品にも、こういった資格があるか確認してみましょう。
食品メーカーの『技術職、工場勤務』向けのスキル、資格
食品の工場で求められるスキルは、他の業界と同じです。
食品の原料としてアルコールを使ったり、pHの調整に塩酸やアルカリを使用することが多いため、危険物取扱者(乙4/甲種)や毒劇物取扱者の資格は需要が高いです。
危険物取扱者に関しては、スタッフレベルであれば乙4でOKですが、生産管理やエンジニアを目指すのであれば甲種を取りましょう。
中途では必須レベル。
また、こういった資格を持つ新卒は『おっ!』と採用担当の目に止まります。
また、電験三種や公害防止管理者の資格があると、さらに求人の幅が広がります。その代わり難易度も高いです。
特に工場のスケールが大きい大手メーカーのエンジニアを目指す人は、これらの資格にチャレンジしましょう。
スタッフレベルであれば、フォークリフトやクレーン、玉掛けの免許、技能講習はもちろん評価されます。いずれもメジャーですね。
ここに挙げた仕事は、いずれも『工場に1人は必須』あるいは『工場にいないと仕事が回らない』資格ばかりです。
ちなみに僕も公害防止管理者(水質)、危険物取扱者(甲種)、毒劇物取扱責任者の資格を持っています。
これらの資格は公式の参考書の文面やグラフがそのまま出題される試験ばかりです。
学習量が多い資格ですが、できるだけオフィシャルの参考書、問題集で勉強していきましょう。
食品メーカーの『研究職』向けのスキル、資格
メジャーな分析機器、実験手法はマスターしておきたい
基礎研究職を目指すなら、ピンポイントな分析、実験スキルが求められます。
中途採用では『〜の実験機器を用いた代謝成分解析ができる人』と言ったレベルまで指定されている求人もあります。
新卒であれば『大学院での研究内容』が左右する職種でもあります。
業界でベーシックな実験手法はマスターしておきましょう。
『自分の仕事はこの分析機器使わないから』とスルーしていると、自社でしか通用しない人材になります。
色んな分析機器を使うように、自分で仕事を動かすのも大切です。
ムダな実験ばかりしてはいけませんが『普段の研究で多くの分析機器、実験スキルを身につける』感覚を養いましょう!
工場経験者が優遇?基礎研究か応用研究かで求められるスキルは違う
ここまで基礎研究の話をしましたが、生産現場に近い応用研究や工業化研究では話が違います。
食品メーカー研究開発職として働くということ:仕事内容や給料、激務度などの実情を語ってみる
応用研究を担う人材について、どの企業も悩んでいるのが『現場視点』あるいは『顧客視点』が足りないことです。
目の前の実験しか見えない人が多すぎるのです。
そのため、
『1つの商品の生産ライン立ち上げに関わった』
『生産管理や製造工程改善を担当していた』
など工場ベースの仕事を経験していた研究者は、メーカーからの需要はめちゃくちゃ高くなります。
第二新卒では『開発、生産から研究職への職種チェンジ』が成功しやすい理由もここにあります。
研究、生産、開発…広い視野で仕事ができることをアピールすることが、キャリアアップへの近道です。
食品メーカーの『商品開発職&品質管理』向けのスキルと資格
何を開発したか?より商品開発のプロセスを知っていることが重要!
『CMで有名なあの商品を開発しました』
『自分の担当商品は〜円売り上げました』
確かにすごい。印象も良い。評価されます。
ただ、大事なのは採用担当に『うちで活躍できるな』と思わせることです。
実績自慢だけではどこも採用されません。
彼らが評価されるのは『成功へのプロセス』を実体験で解説できるからです。
面接官はその説得力あるストーリーに惹かれるのです。
例えば、人気商品の開発にメインで携わった人なら、
『なぜ売れたのか(マーケティング、営業)』
『どうやって利益化できたのか(生産)』
『そのために何の実験が必要だったのか(研究開発)』
といった知識を、実体験ベースで話すことができます。
これが転職活動における『説得力』です。
新卒の人でも、自分が実現したいことを語るときは、この3点を頭に入れて話を組みたてましょう。
商品開発には『広い視野』が必須ですよ!
【要チェック!】これから品質管理、生産管理には『HACCP』知識が必須となる
HACCP(ハセップ、ハサップ)は、食品製造のための衛生管理手法の1つです。
工程ごとの危害分析から、必要な管理項目を洗い出し、食品を安全に作るのが目的です。
厚労省が推進するHACCPですが、HACCPによる製造管理義務化の動きが強まっています。
今でも、どの食品メーカーもHACCP担当者の育成に必死ですよ。
特に近年はクレームがSNSなどで拡散しやすく、デパートや百貨店などの小売店も、製造元がHACCPを導入しているどうかを商品採用の判断基準の1つにしています。
優れた商品の前に、安全な商品を提供できるメーカーであることが前提です。
HACCP指導を行うコンサルタントなどはHACCP指導員の資格が求められますが、基本的にメーカーのHACCP管理担当に資格はありません。
研修会などの参加で知識をつけていくことになりますが、わかりやすいテキストも発売されているので、食品メーカーの品質管理、生産管理を目指す人は目を通しておきましょう。
実務経験、特定学校の卒業が必要なスキル
管理栄養士は食品メーカーの商品開発職にとっても貴重な人材です。
特定の学校を卒業する必要がありますが、その分、求人の引きは強いです。
調理師や、製菓衛生師、パン製造技能士、缶詰主任技術者などは実務経験が必要ですが、もちろんその業界内での評価は高くなります。
”食品メーカーの『営業職』向けのスキル、資格”の章で書いたソムリエ系の資格よりハードルは上がりますが、それだけ業界内での転職には強くなります。
【要チェック!】『食品表示検定』の需要が拡大中!
食品表示検定中級の合格体験談|勉強法や難易度、過去問入手法などまとめ
HACCPだけではなく、食品の衛生や品質管理制度はどんどん変わっています。
食品の成分表示に関しても、平成25年から『食品表示法』という法律に一元化されました。
食品表示の資格といえば、平成21年よりスタートした食品表示検定。
食品表示法の施行により、この資格の需要も拡大中です。
以前はマイナーな食品表示の資格という立ち位置でしたが、最近は求人の募集要項に書かれることも少なくありません。
食品表示検定はこれから間違いなく需要が上がる、かつ実務に結びつきやすい資格です。
食品メーカーを目指す新卒の学生や転職希望者の方にはオススメですよ!
学生や、営業希望の社会人は食品表示検定の初級から!公式の参考書はコチラ!
食品の商品開発、品質管理を目指す人は中級から!公式の参考書はコチラ!
※食品表示検定は制度変更のたびに内容が更新されます!必ず最新のテキストを購入するようにしましょう。
『英語』はできて当たり前!もう英語抜きにキャリアアップには無理な時代がきた
もはや英語はどの業界でも必須のスキルとなりました。
食品メーカーは国内の需要が頭打ちになり、海外…特にアジア圏、途上国を中心に事業を拡大しています。
食品メーカーは安定していると言われますが、人口減、消費減退など…国内市場衰退のダメージを確実に受けています。
英語スキルを短期間でアップする方法に関してはこの記事で解説しています。
【院試英語対策】最速で大学院合格レベルになるTOEIC&TOEFL勉強法
受験生向けの記事ですが、
- 短期間でTOEICのスコアを800点代まで上げたい
- TOEFLやスピーキング、ライティングの知識も伸ばしたい
人は必見です。
とにかく『効率的に英語力を伸ばす』ことだけを考えた記事です!
実際に転職活動をするとわかりますが、TOEICスコアなし、TOEIC600、TOEIC800で求人のレベルは違います。
食品メーカーでも、本気でキャリアアップを目指すなら英語は避けて通れません。
おわりに
食品を初めとした消費財メーカーは、必須資格や義務資格が少ない業界です。
そのため、見当違いな資格をアピールしてくる人が本当に多いんですよ。
難易度が高いだけでは意味がありません。
『この資格、スキルをどう生かすか』を常に頭に入れてスキルアップ&キャリアアップしていきましょう!